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2023.2.1

慢性炎症と腸

立春とはいいますが、まだまだ寒さが厳しい日々が続いています。

花粉が飛散し始める時期となり、目や鼻がムズムズし始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。

花粉症だけでなく、さまざまなアレルギーに悩む人が増えています。

通常の免疫細胞は、外敵などの「異物」を攻撃するのが仕事です。ところが何らかのきっかけで免疫細胞が過剰反応してアレルギー症状を起こしたり、自分自身の組織を攻撃するリウマチなどの自己免疫疾患を起こしたりします。その“根っこ”にあるものとして「炎症」が深く関係しています

これらの「炎症」は、腸内環境と密接な関わりがあることがわかってきました。腸の内側は粘膜で覆われ、外界から侵入する異物が入らないようバリア機能が備わっています。その内部には約1000種類100兆個もの腸内細菌がすんでいますが、その構成バランスがよければバリア機能は健全に働きます。

ところがそのバランスが崩れると、腸粘膜は傷つけられ、細胞間の結合がゆるんできます。そこから毒素やウイルス、消化しきれていない食物が血液を通じて全身に漏れ出してしまいます。

その現象が「腸もれ」です。

「腸もれ」によって、身体のあちこちで免疫細胞が過剰に働き、これら異物を攻撃し続けてしまうのです。これが慢性炎症であり、上記の花粉症だけでなく、がん、糖尿病、認知症、うつ、アレルギー、自己免疫疾患(リウマチなど)、動脈硬化、肥満など、さまざまな病気を引き起こす原因となることが知られています。

腸内環境を良好な状態に保つことは、全身の炎症を抑える意味でとても大切なことがわかっています。腸内環境をよりよく保つためには、質の高い十分な睡眠、適度な運動などの生活習慣はもちろんのこと、食生活が重要になります。

食物繊維やオリゴ糖、ビタミンDなどの栄養素を積極的に摂りましょう。

特に水溶性食物繊維は善玉菌のエサとなり、その結果、短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸など)を生み出します。

それが腸内環境を改善し、腸粘膜のバリア機能を高めてくれます。

さらに、短鎖脂肪酸はTレグ細胞を増やす力を持っており、このTレグ細胞は免疫細胞が暴走しないようにコントロールしてくれるのです。中でも「酪酸」は素晴らしい働きが次々と報告されており、腸の健康の新たな主役として注目を集めています。

また、ビタミンDもゆるんだ細胞同士を密着させ、バリア機能を高めて、Tレグ細胞を増やしてくれます。

免疫はわたしたちの身体を守るために必須のシステムです。しかし、現代人の多くはその生活習慣によって免疫が働きすぎてしまっています。免疫が働きすぎると簡単に全身で炎症を起こします。必要なときだけしっかりと働く、これが免疫のあるべき姿です。

そのためにはどうしたらいいのか、その答えが「腸」にあるようです。しっかりと腸が喜ぶことをしていきましょう!