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2022.3.1

腸内細菌の多様性

人間の腸内には100兆以上の菌がいます。重さにして2kg前後くらい。人の細胞は約37兆個といわれていますから、それよりも多い菌が主に大腸で細菌叢(フローラ)を形成し、腸内環境を左右しています。

では、理想的な腸内フローラとはどういうものか。それを語る際に大事なのは「多様性」と「腸内細菌が生み出す代謝物」です。

「多様性」とは、いろいろな種類の菌がバランス良く生きている様子です。その腸内環境は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の理想的なバランスが2:1:7で善玉菌が悪玉菌を抑えているのが健康的な状態といわれていました。

しかし、善玉菌の中にも働きの悪い怠け者の菌がいたり、逆に悪玉菌や日和見菌の中によい働きをする菌がいたりすることがわかってきたので善悪の区別ができなくなっています。善玉菌と悪玉菌のバランスによって腸内環境が保たれているともいえます。腸内細菌のバランスがよいほど免疫のバランスも整い、免疫が過剰に反応することも少なくなるようです。多様な腸内環境がお互いに影響し合うことで、ヒトは健康状態を作るのです。

人は、生まれるときに、産道で母親からはじめて菌をもらいます。外の世界に触れることでさらに菌をもらって成長し、3〜5歳で腸内細菌の種類が決まるといわれています。

偏食、食べ過ぎ、飲み過ぎ、添加物、細菌汚染、食中毒などさまざまな原因で腸内環境が乱れます。口の中の虫歯菌にも影響を受けますし、安易に抗生物質をたくさん使ってしまうことで大きなダメージを受けます。運動不足、ストレス、過労も原因となります。そのように腸内環境が乱れると多様性が徐々に失われるようです。

大事なのは、健康状態のよい時の腸内細菌のバランスを保つことです。

腸内細菌が生み出す代謝物の代表的なものは短鎖脂肪酸です。短鎖脂肪酸(主に酪酸)は大腸の粘膜のエネルギーになり、腸管のバリア機能を維持する他、全身に回ってエネルギー代謝に関わったり、炎症の抑制(Tレグ細胞)にも働いてくれます。

どれもわたしたち人間にとって重要な役割ばかりです。

そのためには、短鎖脂肪酸を生み出す善玉菌を元気にしておくことがポイントです。それには善玉菌が喜ぶ水溶性食物繊維を摂取することが大切です。日本人の食物繊維平均摂取量は下がり続けており、現在の倍くらいの量を摂る必要があるともいわれています。

自分の食べるものが腸内環境を作ることを意識して健康長寿を実現する腸を育てましょう。食事で補いきれない栄養素はサプリメントを上手に利用してみてください。